こんにちは^^
副業アドバイザーのから坊です。
副業で儲けが出れば、納税義務が生じます。
一定額以上の所得になれば、確定申告をしなければなりません。
しかし、副業で儲けが無くても確定申告した方が節税できるって話、聞いたことはありませんか?
今回はその真偽について説明していきます。
それでは、行ってみましょう。
まず副業の確定申告のおさらい
確定申告は、簡単に言うと前年の所得税額を確定させる手続きのことです。
しかしサラリーマンは、通常は確定申告をする必要はありません。
給与所得にかかる税金に関する事務処理や届け出は、会社がしてくれるからです。
例外的にサラリーマンが確定申告をする理由として多いのは、医療費控除や住宅ローン控除など還付を受けるためのものです。
ただし、会社がやってくれる所得税の事務処理は、あくまで会社の給与所得の範囲です。
それ以外の所得、つまり副業の所得に関する確定申告は自分でやらなくてはなりません。
副業の確定申告が必要になるのは、年間の副業所得が20万円を超えた場合です。
逆に言うと、副業の所得が20万円以下の場合は、確定申告をする必要はありません(僅かでも儲けがあれば役所への住民税の申告は必要ですが、ここでは省略します)。
赤字の副業で確定申告をするメリット
年間の副業所得が20万円以下であれば確定申告は不要なのですが、確定申告をした方が良い場合があります。
以下のようなケースでは、赤字の副業で確定申告をするメリットがあります。
義務は無いが赤字の副業で確定申告した方が良いケース
- 事業所得・不動産所得で赤字
- 株式投資・国内FX・先物取引等で赤字
事業所得・不動産所得で赤字のケースは、会社の給与所得からマイナスすることができます。
これを損益通算といい、天引きされた所得税の一部を取り戻すことができるのです。
ただし後述しますが、副業の実態が「事業」であると税務署に認めさせるのは並大抵のことではありません。
また事業所得ではない副業の所得は基本的に雑所得になりますが、雑所得の場合は給与所得と損益通算することはできません。
次に株式投資・国内FX・先物取引で赤字のケースです。
これらの赤字は給与所得と損益通算することはできませんが、確定申告をすることでマイナス所得を3年間繰り越すことができます。
繰り越されたマイナス所得の金額は、翌年以降の株式投資・国内FX・先物取引による所得から差し引くことができるのです。
これを繰越控除といいます。
ただし株式投資の赤字で差引くことができるのは翌年以降の株式投資の所得のみで、国内FXや先物取引の赤字で差し引くことができるのも国内FXや先物取引の所得のみです。
とはいえ、投資の取引で赤字だった場合は、繰越控除を使わない手はないです。
忘れず確定申告をしておきましょう。
なお一点注意が必要なのは、FXで繰越控除ができるのは国内業者のFX取引のみということです。
海外業者のFXでの損失は、翌年以降へ繰り越すことも、国内FXの利益と相殺することもできません(ただし海外FXは所得区分が同じ「雑所得」の仮想通貨取引や、ネット物販やアフィリエイトなど給与所得ではない一般的な副業の利益と相殺することはできます)。
海外FXと国内FXは、課税方法も税率も違うため税法上は別物扱いですので、申告時にうっかり合算しないよう注意しましょう。
赤字の副業で還付を受けられる条件
赤字の副業で損益通算できれば、給与天引きされた所得税の一部が還付されます。
しかし、副業で損益通算ができて還付を受けるには条件があり、副業が事業所得と認められる場合のみなのです。
事業所得と認められなければ、雑所得となり損益通算はできません。
雑所得の赤字については、原則としてあえて確定申告をする必要はないといえます。
それでは事業所得と雑所得の分かれ目は何なのでしょう。
目安としてよく言われるのが「金額規模や営利性の有無」「継続性の有無」「リスクの有無・重要性」などですが、明確な線引きがされているわけではありません。
ざっくり言うと「片手間ではなく、その所得で食べているかどうか」が事業所得か雑所得かの分かれ目になります。
副業の赤字で損益通算しようとしているわけですから副業で食べていけてませんが、昨年は赤字だったけど副業で食べていけるだけの相応の活動や努力をしているか、ということです。
また、事業所得とするためには税務署への開業届が必要となり、青色申告の承認申請を提出する必要もあります。
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大抵の場合は、副業はあくまで副業として活動しているのが明らかですので、事業所得を主張しても税務署から突っ込まれる可能性があります。
事業所得が認められなければ赤字申告によりなされた給与源泉所得税の還付は否認されますし、もしも事業活動自体がなく作為的に経費を積み上げたと認定されれば、脱税とみなされる恐れすらあるのです。
税務署も赤字副業による節税を試みる人が存在することを認識しており、目を光らせています。
副業の確定申告はあくまで副業の範囲の申告です。
副業で本業の税金の還付を受けられるというのは大きな誤解です。
副業の確定申告では、本業で天引きされた税金を取り戻すことはできないと認識しましょう。
赤字副業を節税対策の手法として指南するコンサルタントが存在するようで、逮捕者も出ています。
そのようなコンサルタントには十分注意しましょう。
赤字の副業で損益通算するデメリット
仮にですよ、副業の事業所得が認められて、赤字の副業で損益通算ができたとしましょう。
それで一件落着かというと、そうとは限りません。
副業をしていることを会社に知られたくない人は多いと思いますが、損益通算をすると副業が会社にバレます。
原則的には、確定申告書で「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法」を「自分で納付」にすれば、副業の所得は普通徴収扱いになり、副業分の住民税の通知は会社に行かないのでバレないと言われています。
しかし損益通算をすると、普通徴収を選択したとしても、損益通算をしたあとの低い所得に基づく住民税が会社に通知されてしまうので、住民税額の低さで「やったな?」と会社にバレてしまうのです。
これが赤字の副業で損益通算をするデメリットです。
普通徴収の考え方で、給与分の住民税は給与天引きで、事業所得の赤字分はこれとは別に還付してもらえそうなものですが、これはできないようです。
損益通算をして良いのは、副業が会社にバレても問題ない人だけということになります。
バレては困る人は、副業が事業所得であっても損失を申告せず、損益通算をあきらめるしかないようです。
まとめ
副業の赤字を(もしくは敢えて副業を赤字にして)本業の収入と損益通算するには、まず副業を事業所得と認めてもらうという高いハードルがあります。
そのハードルを越えたうえで、損益通算をすると副業が会社にバレる可能性が高まります。
それでもよければ、という話です。
苦労したうえでリスクを負いたくなければ、副業でしっかり稼ぐことを考えて、胸を張って税金を払った方が精神衛生上好ましいかもしれませんね。
以上、から坊でした。