副業 税金

副業でもツラい選択!知らないとヤバいインボイス制度。会社バレも?

2021年12月13日

※当サイトはプロモーションを含みます。

管理人

こんにちは^^

副業アドバイザーのから坊です。

インボイス制度という消費税に関する制度が、2023年10月にスタートします。

この制度は一般消費者にはいまいちピンときませんが、実は副業をやってる人にも多かれ少なかれ影響がありそうなのです。

今回は、インボイス制度がどんな副業にどんな影響を及ぼすものなのか探っていきまたいと思います。

それでは、いってみましょう。

 

まずは消費税の仕組みから

サラリーマンにとって消費税は、まず消費者として関わることが多いですよね。

消費者の立場では、消費税は何かを買う時に事業者に支払う(預ける)もので、自ら消費税を納入することはありません。

インボイス制度は事業者の納税に関する制度ですので、事業者がどのように消費税を納めているのか、まずはおさらいしてみましょう。

消費税は商品を購入した消費者が負担するものであり、前工程の製造業者や販売業者の負担はありません。

しかし消費者は消費税を自らは納税せず、事業者への代金支払いの際に消費税額を預けています。

事業者は預かった消費税をそのまま納めるわけではありません。

預かった消費税のうち、仕入れ時に支払った(前工程の事業者に預けた)消費税分を差引いた額を納めるのです。

このように仕入れ時の消費税額を差引くことを「仕入税額控除」といいます。

この差し引きによって納める消費税は重複が発生せず、各事業者の納税額の合計は消費者が支払った消費税額と一致するのです。

これにより「消費税を負担するのは消費者で、納税を代行するのは各事業者」の図式が成立します。

 

免税事業者とは

先ほど「各事業者の納税額の合計は消費者が支払った消費税額と一致する」と書きましたが、実は例外があります。

消費者の前工程に「免税事業者」が存在した場合です。

免税事業者っていったい何?って話ですよね。

消費税がスタートした時の名残りらしいのですが、零細事業者は消費税を納めることを免除されています。

消費税の納税を免除されている事業者のことを免税事業者と呼ぶのです。

これに対して、消費税の納税義務がある事業者は課税事業者です。

課税事業者か免税事業者かは、前々年の課税売上額で判定します。

前々年の課税売上が1000万円以下だと免税事業者、1000万円超だと課税事業者ということになります。

なお個人事業主は少なくとも最初の2年間は免税事業者であり、消費税の納税義務はありません。

免税事業者は、本来納めるために預かった消費税を合法的に懐に入れることができます。

これを「益税」と言います。

本来は、

「消費者が支払っている消費税 = 各事業者が納めている消費税額の合計」

となるはずが免税事業者の存在により、

「消費者が支払っている消費税 = 課税事業者が納めている消費税額の合計 + 免税事業者の益税」

となり、

「消費者が支払っている消費税 > 各事業者が納めている消費税額の合計」

と両者は一致しなくなってしまうのです。

免税事業者の益税は合法ですので、今までは黙認されてきました。

 

知らないとヤバいインボイス制度

インボイス制度の話に入る前に、前提となる事がらとして消費税の仕組みと、免税事業者の存在について触れました。

インボイス制度は2023年10月にスタートする予定です。

インボイスは通常は「請求書」という意味ですが、インボイス制度のもとではただの請求書のことではありません。

「適格請求書」という、制度に適合した請求書のことを指します。

この適格請求書を発行できる事業者を「適格請求書発行事業者」といいます。

適格請求書発行事業者は税務署への登録制で、2021年10月より既に登録が開始しています。

そしてインボイス制度が始まる2023年10月に間に合わせるためには、同年3月末までに登録しておく必要があります。

それでは、インボイス制度における適格請求書は通常の請求書と何が違うのでしょう。

適格請求書はいくつかの必須項目が指定されていますが、中でも特徴的なのは請求書の発行者(適格請求書発行事業者)の登録番号の記載が義務付けられていることです。

インボイス制度下での取引きでは、請求側には「適格請求書の発行義務」があり、支払側には「適格請求書の保存義務」があります国税庁:適格請求書等保存方式が導入されます)。

インボイス制度では、消費税を払ったことの証拠として、仕入れ時の適格請求書の提出が必要になります。

自ら消費税を納税しない消費者には関係ないのですが、課税事業者には大きな影響があります。

事業者が納める消費税額は「預かった消費税額のうち、仕入れ時に支払った消費税額を差し引いた額」でしたね。

ところがインボイス制度では、仕入れ時の適格請求書がないと、仕入れ時に消費税を払っていないことになるのです。

仕入れ時に支払った消費税額を差引けなくなるわけですから、消費税を余計に納めなければならないということになります。

課税事業者にとっては看過できない問題であり、仕入れる相手に適格請求書を求めるのは当然のことですね。

 

免税事業者のツラい選択

軽減税率によって消費税が一律ではなくなったため、細かい税率の管理が必要になったというのがインボイス制度の建前です。

でも国がやりたいのは、免税事業者の懐に入っている益税の解消です。

今までは黙認していたけれど、税率が10%にまでなるとバカにならないですからね。

国としては納税さえされれば誰が納めても構わないので、適格請求書を保管していればその分を差引いて良いけど、適格請求書が無い仕入れの消費税は自分で納めなさい、となったのです。

こうなると、適格請求書を発行しない事業者は敬遠されますよね。

それじゃあ適格請求書発行事業者に登録して、適格請求書を発行すればいいということになります。

ここで問題になるのは免税事業者です。

免税事業者は消費税の納税を免除されているので、税務署で適格請求書発行事業者の登録をすることができないのです。

そうなると、以下のように免税事業者は厳しい立場にさらされることが予想されます。

   免税事業者は適格請求書を発行できない
        ↓
   免税事業者から仕入れると、消費税を肩代わりすることになり税金が増える
        ↓
   課税事業者は免税事業者から仕入れるのは避けたい
        ↓
   免税事業者の仕事が減る

ということで、免税事業者は次のようなツラい選択を迫られることになると思われます。

免税事業者の主な選択肢

  • あえて課税事業者になり適格請求書を発行する
  • 消費税分を値下げする

一つ目の選択肢は、適格請求書を発行するために、あえて課税事業者になるということです。

2年前の課税売上が1,000万円以下の免税事業者であっても、届出れば課税事業者になることは可能です(課税事業者選択届出書の提出)。

税金を納めなくて良いと言われているのに、わざわざ自分から課税事業者になるのは悔しいですが、そうしないと大きく仕事を失ってしまうならやむを得ません。

もう一つの選択肢は、免税事業者のままで、商品の代金を消費税分値下げするということです。

免税事業者の自分が適格請求書を発行できないため取引先が仕入税額控除を受けられないので、その分を値下げすることで勘弁してもらおうというものです。

なおインボイス制度下で仕入税額控除に適格請求書が必要になることについては、経過措置期間があります。

経過措置

  • 2023年10月~2026年9月 適格請求書が無くても支払った消費税の8割を控除できる(仕入税額控除できない分の2割負担でよい)
  • 2026年10月~2029年9月 適格請求書が無くても支払った消費税の5割を控除できる(仕入税額控除できない分の5割負担でよい)

でもどうなんでしょう、仕入側は何割かは肩代わりして負担しなければならないことには変わりないですし、経過措置期間中の計算が面倒になりますよね。

免税事業者からは仕入れたくない、という思いを変えることは難しいと思います。

 

こんな副業にインボイス制度が直撃

それでは、インボイス制度の直撃を受けるのは、どんな副業の免税事業者なのでしょうか。

ざっくり言うと、以下のとおりになります。

  • アルバイト等の給与所得者は直接的な影響はなし
  • フリーランスの業務受託は影響大!(仕事を失うことも)
  • 転売、せどりは仕入先や販売先によって影響に幅がある
  • アフィリエイターやアンケートモニター等は多少の影響も(減額はあるかも)

まず、副業でアルバイト等の給与所得を得ている場合は、インボイス制度の直接的な影響はないと思われます。

最も影響が大きいと考えられるのは、取引形態が「1対1」の業務受託です。

フリーランスとしてイラストレーターやプログラマー等の仕事を請負っている場合が該当します。

発注側が免税事業者との取引を避けることになれば、仕事を失うのを回避するために、上述のようにあえて課税事業者になるか値下げをするかの判断を迫られる事態もあり得るでしょう。

次に影響が大きいと思われるのは、転売業などです。

転売業の場合、仕入先や販売先によって影響の大きさに幅があります。

転売商品をメルカリやヤフオクで仕入れている場合は、仕入先の多くが一般の方であり課税事業者ではありませんから、適合請求書を発行してもらえません。

そのため仕入税額控除を受けられないので、自分が課税事業者であるならば(もしくは今後あえて課税事業者になるならば)消費税の負担が増えることになります。

また販売先については、一般消費者向けの商品を販売している場合は影響は少ないでしょうが、販売先に課税事業者が多い場合は、免税事業者からの仕入れを避けられて売れなくなる可能性があります。

一方、例えばアフィリエイターやアンケートモニター等は、発注側のASPやサイト運営者から見て、売上が増えるのであれば免税事業者を排除する理由はありません。

従って仕事を失う事態にはならないと思われますが、何らかの形で免税事業者に対する消費税分の値引きを求めることはあるかもしれません。

 

副業が会社にバレるおそれも

ここで別の切り口で、インボイス制度の副業への影響をお話しします。

もともと副業の課税売上が1,000万円を超えて課税事業者だった人や、インボイス制度を睨んであえて副業で課税事業者になる人は、適格請求書発行事業者として登録すると国税庁のホームぺージに公表されるのです。

会社に内緒で副業をやっている人は多いと思いますが、心配事が増えてしまいますね。

適格請求書発行事業者の公表事項は以下のとおりです。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  2. 登録年月日
  3. 登録取消年月日、登録失効年月日
  4. 法人(人格のない社団等を除きます。)については、本店又は主たる事務所の所在地
  5. 特定国外事業者(国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを国内に有しない国外事業者)以外の国外事業者については、国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地

個人の場合は、個人を特定する情報で公表されるのは氏名だけですので、会社に見付かったとしても「同姓同名で自分じゃない」としらを切れそうではありますが。

公表は既に始まっています(国税庁:適格請求書発行事業者公表サイト)。

登録番号や名称から事業者を検索できる他に、全件ダウンロードの機能もあります。

 

簡易課税で打撃を低減できる?

ここまで説明してきた適格請求書の発行や値下げが強いられる話は、課税事業者であるお客様への対応についてでした。

しかし自らが課税事業者になったからには、消費税の納税義務が生じ、そのための計算業務が発生することを忘れてはいけません。

販売時に受取った消費税から仕入時に支払った消費税を差引いて納税するのですが、上述のとおりインボイス制度では適格請求書を受け取らないと仕入時の消費税を差引くことができません。

とてもやっかいな計算になります。

そこで、中小事業者の事務負担を軽減するための特例として、簡易的な計算による納税が認められています。

この特例的な計算方式を簡易課税方式といいます(対して一般的な課税計算は原則課税方式、もしくは本則課税方式といいます)。

簡易課税方式は、販売時に受け取った消費税額に一定の割合(みなし仕入率)を乗じて仕入控除額を計算します。

【簡易課税方式】納税額 = 販売時に受取った消費税額 ー (販売時に受取った消費税額 X みなし仕入率(%))

この計算方式なら、受取った消費税額さえ把握していれば納税額を算出することができます。

なお簡易課税方式のみなし仕入率は、業種によって決まっています。

事業区分 該当する事業 みなし仕入率
第1種事業 卸売業 90%
第2種事業 小売業+飲食料品の譲渡に係る農業・林業・漁業 80%
第3種事業 農業、林業、漁業、製造業、建設業、電気・ガス業、熱供給・水道業、鉱業 70%
第4種事業 飲食店業など1~3以外の事業 60%
第5種事業 1~3以外のサービス業、金融・保険業、運輸・通信業 50%
第6種事業 不動産業 40%

一般的に利益率が低いといわれる業種はみなし仕入率が高く、利益率が高いといわれる業種はみなし仕入率が低く定められています。

簡易課税を選ぶと、原則課税の面倒な計算から解放される他に、節税効果も得られる可能性があります。

一般的に売上が少ないと原則課税方式の課税負担は重くなる傾向がありますので、事業が小規模の場合はシミュレーションしてみる価値はあると思います。

またフリーランスのクリエイターなど経費があまりかからない場合や、原価の多くが消費税がかからない人件費の場合、また卸や小売りなど粗利が低い場合は簡易課税の方が有利になることが多いといわれています。

逆に、赤字の場合や、設備投資等で支払った消費税が多額の場合、輸出取引が多い場合などは、原則課税方式の方が有利になる可能性が高いです。

なお簡易課税方式を選択するには3つの条件があります。

  1. 課税売上高が5,000万円以下であること
  2. 事前(年度が始まる前)に簡易課税選択の届出を行うこと
  3. 2年間継続適用

まず一つ目は、課税売上規模の上限があることです。

この条件はかつて「2億が5千万円以下」だったものが縮小されており、今後も適用範囲の縮小はあるかもしれません。

そして二つ目は、事前に選択届出書を税務署に提出しなければならないことです。

そして三つ目は、簡易課税を一度選択したら、最低2年間は簡易課税で消費税を申告・納税しないといけないということです。

二つ目と三つ目の条件により、事前に2年間の消費税を予測しておくことが望ましいといえます。

例えば2年以内に大きな設備投資を予定している場合は、注意が必要になるでしょう。

 

まとめ

販売や購買に関与していないサラリーマンにとっては、消費税は一般消費者として「商品価格に上乗せされるもの」程度の認識しかないかもしれませんね。

しかし副業の事業者の立場で考えてみると、インボイス制度の開始を睨んで自分の立ち位置を考えておく必要がありそうです。

インボイス制度の開始は2023年10月であり、その時点で適格請求書を発行するには同年3月末までに登録を済ませておく必要があります。

猶予はあまりありません。

以上、から坊でした。

無料メルマガ募集中です。

無料相談受付中です。

 

-副業, 税金